臨床血液
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症例
CD4+CD45RA+細胞の減少が病態発生に関与していると思われたEvans症候群の1例
岩瀬 理大隅 彰藤枝 広巳栗山 謙川西 慶一長主 正也矢口 誠相沢 信中野 優外山 圭助
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1993 年 34 巻 7 号 p. 859-864

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抄録

症例は38歳,男性。昭和57年2月,自己免疫性溶血性貧血(AIHA)の診断でプレドニゾロン(PSL)投与されたが通院中断。平成3年2月息切れ訴え来院し,AIHAの再燃と診断され入院。治療再開前の検査でCD4+CD45RA+/CD4+比の著明な低下を認めた。PSL投与により1カ月後には寛解に到達。CD4+CD45RA+/CD4+比は正常化した。同年9月溶血再燃。CD4+CD45RA+/CD4+比も低下傾向を示した。なお同時に著明な血小板減少がみられPAIgGも高値であったため本症をEvans症候群と診断。PSLの増量とダナゾール,アザチオプリンの併用で貧血は改善したが,血小板は増加せず,またCD4+CD45RA+/CD4+比もさらに低下した。そこで平成4年3月摘脾施行。その結果,血小板数は正常となりCD4+CD45RA+/CD4+比も正常化した。平成4年9月現在,再燃はみられない。以上よりCD4+CD45RA+/CD4+比の低下はAIHAないしはEvans症候群の病態発生に深く関わっているものと推察された。

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© 1993 一般社団法人 日本血液学会
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