臨床血液
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症例
再発と紛らわしい縦隔拡大をみとめたHodgkin病の1症例
清水 宏之榊原 吉峰藤本 孟男
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1993 年 34 巻 7 号 p. 865-869

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抄録

Hodgkin病の患者に縦隔腫瘤が出現した場合には,しばしば再発が疑われるが,このほかに化学療法後の反跳性胸腺腫大など良性病変も鑑別診断に含まれる。われわれは,頸部原発Hodgkin病(病期I, 結節硬化型)の症例で,低線量放射線およびMOPP療法による治療終了後3カ月時の定期胸部レ線撮影で縦隔腫瘤の出現した症例を報告する。本症例では縦隔病変出現時に臨床的異常を認めず,ほかの検査所見も正常のため再発は否定的であった。経口プレドニゾロンの短期試験投薬で腫瘤の著明な縮小をみとめたことから良性胸腺腫大が強く疑われた。胸腺腫大のみられた時期は抗癌治療ストレス解除後の免疫能の回復期に一致していた。治療終了後20カ月以上再発なく経過している。このような良性病変による縦隔腫瘤の存在を念頭に置くことにより,不必要な外科的検査や化学療法を避けることができる。

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© 1993 一般社団法人 日本血液学会
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