1993 年 34 巻 9 号 p. 989-996
小児癌・白血病研究グループ(CCLSG)加盟施設で治療した小児急性前骨髄球性白血病(acute promyelocytic leukemia: APL) 40例の臨床的特徴,治療成績を後方視的に検討した。診断時年齢中央値は8歳で,90%の症例で出血症状を伴いDICを合併した。肝腫大,脾腫大,リンパ節腫脹を各35%, 10%, 15%の症例にみとめた。白血球数中央値は4.25×109/lで,貧血(Hb<8 g/dl), 血小板減少(<30×109/l)は過半数でみられた。染色体分析では約90%にt(15;17)をみとめた。治療にはアンスラサイクリンとcytosine arabinosideを中心とする化学療法を用いた。寛解導入率は73%で非寛解例の大部分は出血による早期死亡例であった。生存率は,3年28%, 5年24%, 10年7.9%で晩期骨髄再発のため減少が持続した。アンスラサイクリンによる白血病寛解時の心不全死が3例あった。これらAPLの臨床的特徴を考慮した治療法の開発が望まれる。