1993 年 34 巻 9 号 p. 997-1001
薬剤性無顆粒球症に対するG-CSF投与適応判定の簡便な指標を探る目的で,本症の5例について診断時の骨髄像を分析した。5例中2例の骨髄は細胞密度が著しく低くME比は極端な低値で,骨髄球以降の好中球系細胞は完全に欠如していた。この2例中,G-CSFを投与した1例では末梢血好中球数が500/μl以上に回復するのに要した期間は5日だったのに対し,G-CSF非投与例ではその期間が9日と長かった。一方,ほかの3例の骨髄は正ないし軽度に過形成でME比は中等度の低下に止まっており,また骨髄球以降の好中球系細胞がすでに認められた。この3例では末梢血好中球数が500/μl以上に回復するのに要した期間はrhG-CSF投与の有無にかかわらずいずれも3日であった。以上の観察結果より,診断時の骨髄像が低形成でME比が極端に低く,さらに骨髄球以降の好中球系細胞が欠如している薬剤性無顆粒球症患者はG-CSF投与の適応と考えられた。