1994 年 35 巻 1 号 p. 14-22
1984年1月から1988年4月まで成人急性リンパ性白血病(ALL) 20例,リンパ芽球性リンパ腫2例に対し,修正L-10Mプロトコールによる化学療法を施行した。その観察期間中央値が5年をこえたので長期成績を報告する。対象は男性13例,女性9例。年齢中央値は31歳(15∼71歳),Ph1陽性例は認めなかった。完全寛解(CR)率は81.8%, 5年寛解持続率は33.3%であった。寛解率に影響する有意な予後因子は見出せなかった。寛解期間に対する有意な予後因子は年齢およびCRに到達するまでの期間であった。35歳以下の群では5年寛解持続率は54.5%であった。またこの群では白血球数も有意な予後因子であり,白血球数が1×104/μlより多い症例は全例再発し,それ以下の症例は5年寛解持続率は75%であった。今後は成人ALLにおいてはリスクファクターによる治療の層別化が必要と思われた。