同種骨髄移植後,慢性移植片対宿主病(cGVHD)によると思われる気管支肺病変をきたした3症例を報告する。気管支肺病変は移植後120∼250日に発熱,乾性咳そう,息切れを伴って出現し,発症時,2例で他臓器に広汎型慢性GVHDによる病変が認められた。CRPは全例で軽度上昇し,AaDO2の開大を伴う低酸素血症が認められたが,呼吸機能検査では閉塞性病変は認められなかった。胸部CTでは,両肺野に多発性小斑紋状間質性陰影が認められた。全例で気管支肺胞洗浄(BAL)液中のリンパ球は増加していたが,細菌,真菌培養,CMV shell vial culture, pneumocystis carinii cystsは陰性であり,経気管支肺生検(TBLB)にて肺胞隔壁にリンパ球の浸潤が確認された。さらに免疫抑制療法が効果的であった経過より,これらの症例の気管支肺病変は慢性GVHDによる可能性が示唆された。