臨床血液
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臨床研究
慢性GVHDによる気管支肺病変
清水 義文岡本 真一郎湯尻 俊昭西脇 嘉一清水 透新道 英一白戸 りさ大島 康雄柳沢 孝次宮腰 重三郎青木 克益井上 登紀子高橋 聡入江 誠治田近 賢二植村 直樹東條 有伸小林 幸夫谷 憲三朗小澤 敬也市瀬 裕一外山 圭助浅野 茂隆
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1994 年 35 巻 1 号 p. 23-28

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抄録

同種骨髄移植後,慢性移植片対宿主病(cGVHD)によると思われる気管支肺病変をきたした3症例を報告する。気管支肺病変は移植後120∼250日に発熱,乾性咳そう,息切れを伴って出現し,発症時,2例で他臓器に広汎型慢性GVHDによる病変が認められた。CRPは全例で軽度上昇し,AaDO2の開大を伴う低酸素血症が認められたが,呼吸機能検査では閉塞性病変は認められなかった。胸部CTでは,両肺野に多発性小斑紋状間質性陰影が認められた。全例で気管支肺胞洗浄(BAL)液中のリンパ球は増加していたが,細菌,真菌培養,CMV shell vial culture, pneumocystis carinii cystsは陰性であり,経気管支肺生検(TBLB)にて肺胞隔壁にリンパ球の浸潤が確認された。さらに免疫抑制療法が効果的であった経過より,これらの症例の気管支肺病変は慢性GVHDによる可能性が示唆された。

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© 1994 一般社団法人 日本血液学会
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