臨床血液
Online ISSN : 1882-0824
Print ISSN : 0485-1439
ISSN-L : 0485-1439
臨床研究
EDTA依存性偽性血小板減少症6例における凝集の検討
嶋崎 明美加藤 忠彦尾崎 由基男
著者情報
ジャーナル 認証あり

1994 年 35 巻 6 号 p. 529-534

詳細
抄録

偽性血小板減少症6例(16∼70歳,男性2例,女性4例)について抗凝固剤EDTA-2K (1 mg/ml), ヘパリンナトリウム(25 U/ml), 3.8%クエン酸ナトリウム溶液(1:9)を用い,末梢血各血球数をCoulter Model S Plus STKRにて経時的に測定した。その結果EDTAとヘパリンで血小板減少を認め,クエン酸では減少を認めなかった。塗抹標本では血小板凝集塊が存在したが,衛星現象は認められなかった。血球ヒストグラムでは,抗凝固剤に特有な所見は明らかにできなかった。また,テオフィリン(10 mg/ml), プロスタグランディンI2 (1 μM), アスピリン(1.8 mM)を添加して凝集抑制を行ったところ,ヘパリンでは3物質とも抑制効果を示したが,EDTAではアスピリンに抑制効果が認められなかった。EDTA, ヘパリンともに血小板を活性化しており,EDTA凝集はトロンボキサンA2の産生が関与しない過程であることが推測できた。なお,ヘパリンは健常人にも凝集を生じうるため,不適当な抗凝固剤と考える。

著者関連情報
© 1994 一般社団法人 日本血液学会
次の記事
feedback
Top