症例は57歳男性。平成4年夏ごろより鼻閉感,鼻出血が出現。平成5年5月中旬より発熱,寝汗,軽度の体重減少を認め,6月1日当院入院。鼻腔内に径2 cmの腫瘍を認めた。生検で,びまん性混合型非ホジキンリンパ腫の診断。スタンプ標本では胞体にアズール顆粒があり,電顕でもdense granuleを認めた。表面マーカーは,CD2+3-7+16+56+57-HLA-DR+で,T細胞レセプター遺伝子は胚細胞型であった。NK活性は強陽性であった。以上,形態,表面マーカー,遺伝子解析,NK活性から,本例は活性化NK細胞の腫瘍と考えられた。腫瘍細胞のEBウイルスとCD21が陽性のため,EBウイルスがCD21抗原陽性NK細胞に感染し腫瘍化したものと推定された。MDR P-glycoproteinが陽性であった。鼻の悪性リンパ腫が化学療法抵抗性で予後不良であるのは,このためと思われる。