1994 年 35 巻 6 号 p. 581-587
われわれは末期に急性骨髄単球性白血病に移行し,さらに非ホジキンリンパ腫を合併した原発性骨髄線維症のまれな1例を経験したので報告する。症例は64歳,女性で,貧血と白血球増多の精査のために入院した。入院時肝を4横指,脾を3横指触知した。検査所見では,Hb 6.8 g/dl, 白血球数26,200/μlで各成熟段階の好中球がみられ,骨髄生検により好銀線維の増生が認められ,ほかに悪性疾患を示唆する所見は認められず,原発性骨髄線維症と診断した。外来にて経過観察していたが,15カ月後に末梢血に芽球が増加し,肝脾腫も著明となった。右耳下部の腫瘤も同時に認められ,生検したところ非ホジキンリンパ腫と診断され,また,末梢血芽球の検索より急性骨髄単球性白血病と診断した。その後化学療法を開始するも,心不全,呼吸不全,腎不全を併発し死亡した。