臨床血液
Online ISSN : 1882-0824
Print ISSN : 0485-1439
ISSN-L : 0485-1439
症例
特発性血小板減少性紫斑病の診断から9年後に慢性骨髄単球性白血病を発症した小児の1例
福田 稔堀部 敬三宮島 雄二松本 公一小崎 武小宮山 淳
著者情報
ジャーナル 認証あり

1994 年 35 巻 6 号 p. 609-615

詳細
抄録

症例は女児,5歳時に鼻出血と出血斑で受診,PLT 35,000/μlで骨髄に小型巨核球あり。貧血,白血球減少なし。肋骨の骨膜線維腫と,IgEの高値を伴うアトピー性皮膚炎あり。特発性血小板減少性紫斑病(ITP)の診断でプレドニゾロン,アザチオプリン(28カ月間,総量20 g)が投与されたが無効であった。ITPの診断から9年後に呼吸困難と貧血で入院,WBC 23,600/μl(単球17%),Hb 3.9 g/dl, PLT 9,000/μl, 骨髄は過形成で三系統の異型性および染色体異常47, XX, +21を認めた。慢性骨髄単球性白血病(CMMoL)と診断し,HLA一致の姉からブスルファン,メルファランの前処置で骨髄移植を受けて完全寛解が得られたが,1年5カ月後に再発した。染色体異常は47, XX, +21, 7q+。エトポシド,シクロフォスファミド,全身照射の前処置で再移植を受けたが再発死亡した。アザチオプリンが関与した可能性はあるが,長い経過でCMMoLへ移行した興味ある小児例と考えられた。

著者関連情報
© 1994 一般社団法人 日本血液学会
前の記事
feedback
Top