臨床血液
Online ISSN : 1882-0824
Print ISSN : 0485-1439
ISSN-L : 0485-1439
症例
Cytarabine ocfosfateによりG-CSF反応性が回復したと考えられたmonosomy 7 myelodysplastic syndromeの1例
増本 暁大林 由明川田 浩志有森 香笹尾 保小川 吉昭藤原 光福田 竜基渡辺 茂樹梅田 祥克米倉 修司長尾 忠美
著者情報
ジャーナル 認証あり

1994 年 35 巻 6 号 p. 603-608

詳細
抄録

症例は42歳,男性。1992年4月汎血球減少を主訴に入院した。骨髄異形成症候群(MDS)·refractory anemiaと診断し,顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)の投与を開始した。初診時は染色体異常なく,G-CSFの効果は良好であった。G-CSF継続投与中の1993年1月(診断後10カ月)骨髄染色体分析において,46XY, +Y, -7の異常を認めた。この後,芽球増加のない著明な汎血球減少が進行し,G-CSFに対して不応性となった。このため,cytarabine ocfosfate (SPAC) 50 mg/dayをG-CSFとの併用で投与したところ,投与開始24日目に白血球数は1,000/μlを超え,40日目には5,000/μlを超えた。ただし貧血および血小板減少に対しては効果なく,染色体異常の改善も認めなかった。臨床的には,部分的な分化誘導効果と推察された。SPACはG-CSF長期投与中のMDS患者における白血球減少に対して,G-CSFの反応性を回復させる可能性がある。

著者関連情報
© 1994 一般社団法人 日本血液学会
前の記事 次の記事
feedback
Top