抄録
1992年1月から1993年12月までに行った非血縁者同種骨髄移植(BMT)例のうち100日以上生存した6例について慢性GVHDの頻度と臨床的特徴を検討し,HLA一致血縁者間BMT例34例と比較した。慢性GVHDはそれぞれ5例(83%), 14例(41%)にみられた。そのうち移植後70日以内の早期発症例は非血縁者間BMT例では4例(80%)と血縁者間BMTの7%に比べて有意に多かった。病変を示す臓器の数も非血縁者間BMTでは多い傾向がみられた。移植後にHLA-DRB1遺伝子型を決定したところ2例で1座不一致が認められた。これらの所見から,非血縁者間BMT例では慢性GVHDを予防するために,(1)移植後免疫抑制強化,(2)スクリーニングテストの早期施行,(3) HLA-DRB1によるドナーの選択などが重要と考えられた。