1995 年 36 巻 11 号 p. 1316-1320
66歳の男性が持続する発熱で当科を紹介され,入院した。白血球,血小板減少の存在,LDH, ferritinの著明高値の存在から血球貪食症候群(hemophagocytic syndrome, HPS)を疑い骨髄穿刺を施行,血球貪食を伴う組織球が21%と増加しており確診を得た。増加した組織球の大部分は成熟型でvirus associated hemophagocytic syndrome (VAHS)を含む反応性の病態(reactive hemophagocytic syndrome, RHS)を考えたが,DICを合併していたため予後不良と判断,ステロイドのパルス療法に加えVP-16を含む多剤併用化学療法を行ったところ寛解に入り,その後の経過は順調である。成人RHSの場合,早期からの化学療法は治療のひとつの選択となると思われる。