1996 年 37 巻 11 号 p. 1271-1275
症例は38歳,女性。ALL-L2, 第1寛解期に同種骨髄移植目的で当院に入院した。移植後3日目より発熱,咳,呼吸困難を認めた。咽頭培養よりP. Aeruginosaが検出されたため,抗生剤の投与を行なったが,症状の回復を認めなかった。移植後18日目には聴診上cracklesを認め,その後胸部X線で左下肺野に異常陰影,胸部CTで同領域にびまん性の浸潤影を認めた。移植後34日にTBLBを行い施行しBOOPと診断された。骨髄移植後3カ月以内の肺異常陰影の鑑別として細菌,真菌,ウイルスなどによる感染症,放射線肺臓炎,肺出血,肺血管性病変等があげられるが,本例はそのいずれにも当てはまらず,組織的にBOOPと診断されステロイド療法に著効した。骨髄移植後のBOOPの報告は少なく,その発症機序について若干の考察を加えて報告する。