臨床血液
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症例
胸膜アミロイド症
加納 正
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1996 年 37 巻 11 号 p. 1293-1296

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抄録

原発性(AL型)アミロイド症にみられた胸膜アミロイド症について報告した。肺アミロイド症に関する報告はみられるが,胸膜アミロイド症の報告は稀である。〔症例〕1942年生,女性。1987年眼瞼および下腿浮腫,Bence Jones (λ)蛋白尿を認め,腎アミロイド症と診断された。1990年には胸水貯留を認め,胸膜と肺胞中隔にアミロイド沈着を証明した。その後も全経過を通じて胸水は完全に消失することはなかった。さらに起立性低血圧症,下痢あるいは便秘,手根管症候群,体重減少などを認めた。1993年9月心停止により突然死した。剖検により全身諸臓器に高度のアミロイド沈着を証明した。アミロイド症の診断から数えて,全経過は6年であった。化学療法(melphalan), colchicine, dimethyl sulfoxide (DMSO)の併用はある程度の効果を示したと推定される。胸水貯留に他臓器疾患あるいは単クローン性免疫グロブリン血症の合併がみられれば胸膜アミロイド症を想起し,胸膜生検を考慮すべきである。

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© 1996 一般社団法人 日本血液学会
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