臨床血液
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症例
ins(21;8)の染色体異常を呈し,AML1-MTG8 (ETO)キメラmRNAの発現を認めた急性骨髄性白血病(M2)
風間 啓至青山 雅鮫島 勇一寺村 正尚増田 道彦泉二 登志子岡田 美智子溝口 秀昭
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1996 年 37 巻 11 号 p. 1297-1302

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抄録

染色体異常ins(21;8), +del(8)を認め,AML1-MTG8キメラmRNAの発現が認められた急性骨髄性白血病(AML) FAB分類M2の症例を経験した。症例は24歳,男性。強い出血傾向のため白血病を疑われ当科入院。AML M2と診断され,多剤併用化学療法にて完全寛解に到達した。染色体分析では,t(8;21)は認められなかったが,ins(21;8), +del(8)が認められ,Reverse Transcription-Polymerase Chain ReactionではAML1-MTG8キメラmRNAが検出された。AML1-MTG8融合遺伝子が,AML M2の発生・進展に深く関与していると考えられているが,本症例では,t(8;21)を伴う症例とは臨床的・細胞化学的な特徴が異なっており,興味深い症例であると考えられたので報告した。

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© 1996 一般社団法人 日本血液学会
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