1996 年 37 巻 3 号 p. 221-227
48歳,男性。血液学的所見,細胞遺伝学的所見,DNA分析から分類不能型慢性骨髄増殖性疾患(UCMPD)あるいはPh染色体陰性bcr再構成陰性CML (Ph-bcr-CML)と診断され,経過観察がなされていたが[臨床血液33 (4): 525∼531, 1992],診断3年半後にPh染色体の出現を認め,血液学的所見は急転像へと移行した。UCMPD/Ph-bcr-CML症例における晩発性Ph染色体の出現例の報告は少ない。本例におけるPh染色体の出現は病態の段階的な進展過程の中で位置づけられるものと考えられるが,3'側,5'側プローブを用いたSouthern法ではbcr再構成は認められず,RT-PCR法によるBCR/ABLキメラmRNAの検索ではMajor-/Minor-BCR/ABLキメラmRNAとも認められなかったことからBCR遺伝子における切断点は従来のPh+CMLあるいはde novo Ph+ALLとは異なったところにあるのではないかと推定され,晩発性Ph様染色体例として報告した。