臨床血液
Online ISSN : 1882-0824
Print ISSN : 0485-1439
ISSN-L : 0485-1439
症例
Cytosine arabinoside少量療法が著効した低形成性混合型白血病
佐々木 津植田 誠司朝倉 雄介山崎 悦子加藤 和伸田口 淳原野 浩金森 平和小川 浩司大塚 眞美松崎 道男毛利 博大久保 隆男
著者情報
ジャーナル 認証あり

1996 年 37 巻 3 号 p. 233-238

詳細
抄録

症例は54歳男性,労作時息切れを主訴に受診した。初診時著明な汎血球減少を認め,骨髄は低形成で芽球が62.4%認められた。細胞化学ではASD-Chroloacetate Esaterase染色が陽性を示したが,Myeloperoxidase, α-Naphtyl butyrate Esterase, PASのいずれの染色も陰性で,表面マーカー解析ではCD5, 7, 33, 34およびTdTが陽性で,T細胞βレセプター遺伝子の再構成を認めた。染色体分析は正常核型であった。これらの所見をCatovskyらによるbiphenotypic acute leukemiaの診断基準に照らして,低形成性混合型白血病と診断した。Cytosine Arabinoside少量療法を21日間施行したところ,汎血球減少の傾向は残存するものの骨髄は正形成で芽球は5%以下となり,初診後1年の現在に至るまで再発の兆候はなく経過観察中である。低形成性白血病としては非典型的な細胞表面形質と,混合型白血病としては良好な治療反応性が特異と考えられたため報告する。

著者関連情報
© 1996 一般社団法人 日本血液学会
前の記事 次の記事
feedback
Top