臨床血液
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症例
Phenytoin服用者にみられた多発性骨髄腫
加納 正土橋 浩章稲田 俊雄
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1996 年 37 巻 3 号 p. 239-243

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抄録

抗てんかん剤,phenytoin (diphenylhydantoin)の長期服用者にみられた多発性骨髄腫症例である。Phenytoin服用者において,本症例を含めて多発性骨髄腫5例,ほかにdiclonal gammopathy of undetermined significanceとimmunoblastic lymphadenopathyを合併した1例が報告されている。これらの症例には次のような特徴が認められる。すなわち,リンパ節腫大,肝脾腫,軽度の骨病変もしくはこれを欠くことなどで,いずれも多発性骨髄腫の病像としては異例である。Phenytoinとリンパ腫に関連性がみられることから,多発性骨髄腫あるいはその他のplasma cell dyscrasiaにおいて,phenytoinの病因的意義は十分に疑われるのである。Phenytoin服用者では定期的検索により,これらの疾患を早期に発見すべきことを提案した。早期にphenytoinの投与を中止することにより,多発性骨髄腫,その他のplasma cell dyscrasiaを消褪せしめる可能性について検討されるべきである。

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© 1996 一般社団法人 日本血液学会
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