臨床血液
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症例
再生不良性貧血・発作性夜間血色素尿症症候群の経過中,多臓器血栓症を契機に診断されたプラスミノーゲン栃木型異常症
高橋 宏実和泉 透外島 正樹川野 千鶴小松 則夫今川 重彦畠 清彦窓岩 清治馬場 正道坂田 洋一三浦 恭定
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1996 年 37 巻 3 号 p. 249-254

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抄録

再生不良性貧血(AA)—発作性夜間血色素尿症(PNH)症候群の経過中,多臓器血栓症を契機に診断された先天性プラスミノーゲン(PLG)栃木型異常症(PLG栃木)の1例を報告する。症例:44歳男性。1984年2月AA発症。1993年12月にPNHの合併を確認。汎血球減少の増悪を認め,1994年7月当科入院。入院直後に肺炎を合併,入院17日目に脳梗塞,27日目に脾・左腎梗塞を発症。57日目に行った肺血流シンチで肺梗塞を確認。凝固検査でPLG活性54.4%, 抗原量正常,PLG補正試験でPLG阻害因子なし。患者血漿からPLGを精製,等電点電気泳動を施行したところ,等電点の高い方にシフトした異常バンドを認めたが,ウロキナーゼによる精製PLGの活性化パターンは正常であった。以上の所見は青木らが報告したPLG栃木症例と同様と考えられた。本症例における血栓症の成因として(1) PNHの存在,(2) PLG栃木の存在,(3)感染症(肺炎)の合併の関与が推定された。現在ワーファリン投与により,血栓症の再発をみていない。

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© 1996 一般社団法人 日本血液学会
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