臨床血液
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症例
Prednisoloneが著効したCoombs陽性原発性骨髄線維症
湯本 義一奥田 哲也吉田 弥太郎
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1996 年 37 巻 3 号 p. 255-259

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抄録

症例は43歳,女性。原発性骨髄線維症(PMF)と診断されてから4年の経過で輸血依存性となり,血小板減少も伴っていた。血清梅毒反応の生物学的偽陽性の他に膠原病を示唆する所見はなかったが,直接Coombs試験が陽性で,ハプトグロビンは低下していた。中等量のprednisolone(30 mg/日)を開始したところ速やかに貧血,血小板値は正常化し,6カ月後の骨髄生検で骨髄線維の減少と骨髄造血巣の回復を認めた。PMFではCoombs陽性を含む各種の免疫異常を伴うことが知られているが,corticosteroidが奏効したという報告は少なく,生検で組織学的改善が確認された例はさらにまれである。本例はPMFに対するcorticosteroidの効果を考える上で興味深い症例と考えられるので,若干の文献的考察を加えてここに報告する。

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© 1996 一般社団法人 日本血液学会
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