臨床血液
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症例
母子に発症し,子供がmonosomy 7を呈した骨髄異形成症候群
脇田 充史小松 弘和坂野 章吾安藤 美智代仁田 正和高田 濶壽御供 泰治上田 龍三
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1996 年 37 巻 4 号 p. 311-316

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抄録

母子に発症したMyelodysplastic syndrome (MDS)で,1例には染色体分析において45XY, -7を認めた症例を経験した。症例1: 60歳女性で眩暈,鼻出血で発症し,約11カ月の経過で肺炎により死亡した。症例2: 22歳男性で症例1の実子。発熱で発症し皮膚,口腔粘膜の感染を繰り返し,約13カ月の経過で肺炎のため死亡した。2例ともに末梢血および骨髄所見からMDS (Refractory anemia with excess of blast)と診断し,いずれの症例においても末梢血の汎血球減少,骨髄の赤芽球過形成と赤芽球系に顕著な異形性を認めたことや臨床的に反復する感染症を呈し重症肺炎が直接死因となったことが共通して認められた。これらの臨床症状はmonosomy 7 syndromeとして報告されている病態とも似ていることから遺伝的素因にもとづく母子発症である可能性が考えられた。monosomy 7の関与したMDSの家族内発症は報告が少なく興味深い症例と考えられたので報告した。

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© 1996 一般社団法人 日本血液学会
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