症例は77歳,男性。平成6年12月下旬,発熱,食欲不振出現。近医にて,急性腎不全,胸水貯留を指摘,プレドニソロン大量療法で改善したが,γ-グロブリン上昇,M蛋白を認め,精査加療目的にて平成7年3月下旬当科入院。入院時末梢血にてヘモグロビン8.7 g/d
l, 白血球数5,300/μ
l, リンパ球様異常細胞11%, IgMは8.355 mg/d
l。骨髄にてリンパ球様異常細胞を8.6%認めた。染色体分析では,骨髄,末梢血ともに46, XY, t(11;18)(q21;q21)を認め,末梢血異常細胞の表面形質解析ではIgM-κ, CD19, 20陽性,CD5, 10陰性であった。悪性リンパ腫の所見は見い出せず,原発性マクログロブリン血症と診断。t(11;18)(q21;q21)の染色体異常は現在までに6例が報告されており,表面免疫グロブリン,CD19, 20陽性,CD5, 10陰性の節外性のsmall lymphocytic lymphomaやMALTリンパ腫に見られるが,本症例を含め,比較的成熟したB細胞性リンパ系腫瘍に特徴的な染色体異常と考えられた。
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