臨床血液
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症例
Ranimustineで治療中に真性多血症を併発し,急性骨髄性白血病(M0)に転化した骨髄線維症の1例
原島 伸一岡村 孝梅野 守男高木 宏治
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1996 年 37 巻 8 号 p. 713-718

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抄録

症例は60歳,女性。7 kgの体重減少と腹部膨満感を主訴に来院した。巨大脾腫,WBC 18,500/μl, Hb 8.2 g/dl, Plt 68.0×104l, leukoerythroblastosis, 骨髄は著明な線維化を認め,骨髄線維症(MF)と診断した。MCNU投与により貧血は改善したが,治療7カ月後,頭痛,目眩が出現し,RBC 739×104l, Hb 19.1 g/dl, Ht 65.9%と真性多血症(PV)の所見を認めた。合計1,200 mlの瀉血にて,RBC 571×104l, Hb 13.5 g/dl, Ht 45.5%と改善した。その後貧血のコントロールもよく経過したが,MF発症32カ月後,WBC 28,800/μl (blast 90%)と白血病化が認められ,ペルオキシダーゼ染色陰性,CD2, CD13, CD33陽性により,AML (M0)と診断した。多剤併用化学療法を施行するも寛解には至らず,MF発症36カ月後,播種性血管内凝固症候群を併発し死亡した。MFからPVへの進展は珍しく過去15例の報告が見られるに過ぎないが,本患者はMF発症当初から染色体異常46, XX, t(3;12)(q25;p11)を有しており,急性転化時には,del(11)(q-)の染色体異常が付加されていることが白血病化に関連したものと考えられた。

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© 1996 一般社団法人 日本血液学会
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