臨床血液
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臨床研究
成人急性リンパ性白血病における第一寛解期同種骨髄移植群と化学療法群の長期生存率の比較
鈴木 訓充小池 正古川 達雄庭野 裕恵丸山 聡一成田 美和子瀧澤 淳佐藤 直明橋本 誠雄新国 公司鳥羽 健岸 賢治高橋 益広相沢 義房柴田 昭
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1997 年 38 巻 2 号 p. 95-99

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抄録

成人ALLにおいてはHLA一致同胞が存在すればすべて第一寛解期での骨髄移植を行うべきかどうか議論がある。当施設では1981年から1990年の10年間,成人ALL症例(15歳以上45歳未満)に対してHLA適合同胞が存在した場合,第一寛解期移植を積極的に行う方針で臨んだ。またHLA適合同胞の存在しない例では6MP連日,MTX週1回,さらに3カ月ごとにVCR+CY+6MP+Predを繰り返す維持療法をおこなった。BMT群(n=13)と化学療法群(n=16)について10年の無病生存率を比較した。患者年齢,初診時白血球数,表面形質,Ph1染色体の有無,寛解到達までの期間に両群間に有意差はない。10年の無病生存率はBMT群が52±13%, 化学療法群が30±11%で有意差を認めなかった。再発および治療関連死は化学療法群ではそれぞれ10例,1例(胃癌併発),BMT群ではそれぞれ4例,2例(間質性肺炎,VOD各1例)であった。Ph1陰性の若年者(30歳未満)に限った場合ではBMT群(n=9)が67±15%, 化学療法群(n=8)が62±15%で両群の生存曲線はほぼ重なった(p>0.9)。Ph1陰性の若年成人ALLでは第一寛解期での骨髄移植の適応は慎重にすべきである。

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© 1997 一般社団法人 日本血液学会
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