臨床血液
Online ISSN : 1882-0824
Print ISSN : 0485-1439
ISSN-L : 0485-1439
症例
ベーチェット病様症状で発症し,Epstein-Barr Virus感染T細胞の腫瘍化が考えられた1成人例
上田 三穂小林 裕吉森 邦彰高橋 由布子近山 達池田 元美魚嶋 伸彦木村 晋也田中 耕治和田 勝也小沢 勝近藤 元治河 敬世井上 雅美
著者情報
ジャーナル 認証あり

1997 年 38 巻 8 号 p. 657-662

詳細
抄録

Chronic active Epstein-Barr virus infection(以下CAEBV)の経過中にEBV感染T細胞の腫瘍化を起こした1例を経験した。症例は20歳女性で発熱,陰部潰瘍,口腔内潰瘍などのベーチェット病様症状で来院した。頚部リンパ節腫脹を認め,生検では炎症性変化であった。EBV抗体価よりCAEBVと診断し,PSL, acyclovirの投与をおこなった。一旦症状は改善したが,発症約10カ月後に汎血球減少を呈し,骨髄にて異常細胞を35%認めた。TCR-β遺伝子の再構成を認めT細胞腫瘍と診断した。化学療法にて骨髄は寛解となったが,全身のリンパ節の再腫脹を認め,約3カ月の経過で治療抵抗性のため死亡した。骨髄中の腫瘍細胞でのEBVのterminal probeを用いたSouthern blottingにてsingle bandが検出され,単クローン性が証明されたことより,EBV感染T細胞の腫瘍化と考えられた。本邦の成人例では稀であり,報告した。

著者関連情報
© 1997 一般社団法人 日本血液学会
前の記事 次の記事
feedback
Top