1998 年 39 巻 12 号 p. 1175-1179
症例は72歳女性。平成9年1月より発熱出現。3月25日近医にて貧血,血小板減少を指摘され当院紹介入院となった。高LDH血症,高γグロブリン血症を認め,骨髄穿刺では組織球による血球貪食像と形質細胞の増加を認めた。MRIにて下腹部に腫瘤を認め,腫瘤摘出術を施行し悪性リンパ腫と診断された。術前の血清サイトカイン値はinterferon-γ, tumor necrosis factor-αは検出感度以下で,interleukin-6が増加していた。現在化学療法により寛解を維持しており,血清interleukin-6は正常値となり骨髄の組織球および形質細胞も減少した。また,リンパ腫細胞自体が抗interleukin-6抗体による免疫染色にて陽性を呈し,本症例においては悪性リンパ腫自体が骨髄内形質細胞の増加,高γグロブリン血症,血球貪食症候群に関与しているものと考えられた。