抄録
症例は38歳,女性。不応性貧血として治療されていたが,汎血球減少,発熱,脾腫のため当科入院となった。骨髄生検では線維化を伴う過形成髄の所見であった。入院後心タンポナーデ出現し,Ara-C少量療法にて軽快したが,血液学的改善は認められなかった。Ara-C, acrarubicinとM-CSF併用療法を施行したところ,好中球減少症は改善した。その後単球増多を伴う白血球増多と脾腫が進行し,CMMLへ病型移行した。1995年10月に高熱,空洞を伴う限局性浸潤影と肺動脈瘤が出現した。浸潤性肺アスペルギルス症が疑われたが,血液,喀痰培養,血清検査は陰性であった。1996年2月突如大喀血を来たし,右肺全摘出術が施行されたが呼吸不全にて死亡した。病理検査では病原微生物は全く認められず,限局性浸潤部位と肺動脈瘤周囲に単球様細胞による浸潤像が認められた。白血病細胞が限局性に肺浸潤したものと考えられた。