抄録
患者は49歳男性。既往歴,家族歴に特記事項なく,喫煙歴もない。巨脾を触知するも表在リンパ節の腫脹は認めず。血液検査でHb 10.5g/dl, Plt 9.8×104/μl, WBC 21.2×103/μl, 異常リンパ球を70%認めた。ギムザ染色標本では,核小体不明瞭で円形の核と豊かな細胞質を持った,大型リンパ球が増加し,位相差顕微鏡,走査電顕でリンパ球表面に多数の毛髪様突起を認めた。TRAPは陰性。骨髄吸引では,有核細胞数9.4×104/μlで,異常リンパ球を35.4%認めた。表面形質はCD5-, CD10-, CD11a+, CD11c+, CD19+, CD20+, CD22+であった。本邦型hairy cell leukemia (HCL)が疑われたが,SmIg, Ig遺伝子はともにpolyclonalな増殖パターンを示した。以上の所見から,本例を本邦型HCLに類似した特徴をもつ,多クローン性B細胞増多症(hairy B cell lymphoproliferative disorder)と診断した。またEBV抗体は既感染パターンを示した。摘脾により,貧血の回復と血小板数の正常化を認めたが,リンパ球増多は変わらなかった。