臨床血液
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臨床研究
成人急性骨髄性白血病第1寛解期における自己末梢血幹細胞移植の前期第II相試験
—多施設共同研究—
河野 文夫清川 哲志品川 克至竹中 克斗今城 健二林 真広田 雄一大野 裕樹津田 弘之権藤 久司渋谷 恒文久野 修資原田 実根小川 一誠高久 史麿
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1999 年 40 巻 10 号 p. 1051-1057

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抄録

成人AML第1寛解期における,自己末梢血幹細胞移植(auto-PBSCT)を用いた超大量化学療法の有効性,安全性を評価するために,多施設共同研究(PBSCT研究会造血器腫瘍分科会)による前期第II相試験を行った。登録された105例中,56例にauto-PBSCTが施行され,症例の中央値は44歳であった。FAB分類ではM2, M3が6割を占めた。採取されたCD34陽性細胞の中央値は2.3×106/kgで,末梢血の顆粒球が500/μl, 血小板が20,000/μlをこえるまでに要した日数の中央値はそれぞれ14, 16日であった。またauto-PBSCT施行例のDFSは,観察期間中央値534日で62%であった。今回の研究は症例が少なく,観察期間もまだ十分ではないが,AMLに対する寛解後療法として,auto-PBSCTを用いた大量化学療法が安全に実行可能であり,有効なことが示唆された。今後は,AML治療戦略の中で,寛解後療法として,本療法が有効であるかどうかを明らかにするため,標準的化学療法との前方視的無作為化臨床試験が必要と思われる。

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© 1999 一般社団法人 日本血液学会
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