1999 年 40 巻 10 号 p. 1058-1067
中等度悪性非Hodgkinリンパ腫(IG-NHL)を対象として,CHOP療法による寛解導入後の自己末梢血幹細胞移植併用大量化学療法(auto-PBSCT併用HD-CT)の臨床前期第II相試験を多施設共同研究によって実施した。PBSCはcyclophosphamideまたはetoposide大量にG-CSFを併用して動員・採取し,生着に十分な量のCD34陽性細胞(>1×106/kg)が採取可能であった。登録症例81例中,50例でauto-PBSCT併用HD-CTが実施され,移植後の造血回復は迅速であった。Bearmanの治療毒性基準でgrade III/IVの非血液毒性が約6%に発生し,治療関連死が6% (3/50)に見られた。CRでHD-CTを実施した群(38例,年齢中央値52歳)においては,通常化学療法継続群に比して高い無病生存率が観察され(57%対35%),HD-CTの寛解後療法としての有効性が示唆された。IG-NHLに対するauto-PBSCT併用HD-CTは比較的安全に実行可能と考えられるが,HD-CTの厳密な有効性評価のためには前方視的無作為化による臨床第III相試験が必要である。