副腎皮質ステロイド剤抵抗性の慢性型特発性血小板減少性紫斑病(ITP) 8症例に,従来本邦では抗らい薬として用いられてきたDiaminodiphenyl sulfone (DDS) 75∼150 mg/日を経口的に投与し,その効果と安全性について検討した。5症例(62.5%)で,投与開始から35∼64日で血小板数は10×10
4/μ
lを越えた。うち3例では長期的(3, 4, 6年間)に血小板数10×10
4/μ
l以上を維持している。その作用は用量依存的で,また可逆的な傾向があった。副作用として,3症例で皮膚の掻痒感,発赤がみられたが,一時的な休薬や抗ヒスタミン剤などで改善し,重篤なものはみられなかった。作用機序として,血小板の増加時に網状赤血球比率の増加も観察され,軽度の溶血を介した脾での血小板貪食抑制が考えられたが,まだ不明な点が多い。結論としてDDSは,出血傾向が続く難治性ITP症例に有用な治療法と考えられた。
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