臨床血液
Online ISSN : 1882-0824
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症例
視力障害で発症した骨髄移植関連血栓性微小血管症
中井 邦久田嶋 健一郎岸本 裕司桂 薫子川村 真代山本 義尚花田 昌一全 勝弘尼川 龍一藤本 正博福原 資郎
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ジャーナル 認証あり

2000 年 41 巻 1 号 p. 25-31

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抄録
症例は,26歳女性。1996年10月,AML (FAB: M1)と診断,JALSG AML-95にて加療し,完全寛解を得た。1997年5月,CA (8 g/m2)+CY (120 mg/kg)+TBI (12 Gy)を前処置として同胞間同種骨髄移植を施行した。GVHD予防はCsA+短期MTXで行った。移植後の経過は順調であり,GVHDの合併はみられなかった。移植5カ月後,発熱を契機に両側視力障害が出現した。眼底検査にて両眼網膜に綿花様白斑・網膜出血・網膜浮腫がみられ,網膜血管の多発性血栓形成による変化と診断した。破砕赤血球の出現を伴う貧血と,LDHの増加,腎障害がみられBMT-TMと診断した。CsAを中止し,チクロピヂンとプレドニゾロンを投与した。視力障害や検査値異常は安定化したが,BMT-TM発症3.5カ月後に痙攣発作がみられた。脳MRIには異常なく,FFP輸注およびジピリダモールとアスピリンを投与した。その後の経過は緩慢で病状の急激な進行はなく,発症後13カ月を経過した。眼底異常が生じたBMT-TMは希少であり報告した。
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© 2000 一般社団法人 日本血液学会
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