同一条件の慢性骨髄性白血病(CML)と急性白血病(AL)の同種骨髄移植症例(前処置にCY+TBI, GVHD予防にCyA+short term MTXを使用し,GVHDを合併せず,胸部X線写真,臨床所見に異常を認めない)の肺機能を比較することによって,CMLとALの移植前治療がどのように移植後の肺機能に影響を与えるかを検討した。AL群の%VC, D
L/V
Aはともに移植後に有意な低下を認めなかったが,CML群の%VCは移植前112.1±11.5%で移植後200∼300日に93.7±9.4%, またD
L/V
Aは移植前が79.2±14.6%で移植後100日には54.1±10.6%と両者とも有意に低下した。CML群のうち,移植前治療としてブスルファン(BU), インターフェロン(IFN)が投与されている症例の%VCは移植後に有意に低下したが(BU投与群,移植前111.5±11.4%, 移植後100.6±10.7%; IFN投与群,移植前107.6±6.7%, 移植後93.6±9.2%),非投与群では低下しなかった。D
L/V
AはBU投与群(移植前76.5±13.4%, 移植後57.1±12.5%),BU非投与群(移植前84.6±17.4%, 移植後50.1±7.7%),IFN投与群(移植前89.4±9.7%, 移植後53.9±5.8%),IFN非投与群(移植前74.1±14.3%, 移植後54.2±12.6%)の4群全てで移植後に有意の低下を示したが,IFN投与群で顕著(p<0.01)であった。FEV
1.0%とV50/V25はCML群,AL群ともに移植前後で大きな変動を示さなかった。以上よりCMLの移植症例,特にBUとIFNの投与歴のある症例は移植後の肺合併症で通常より強い呼吸障害を生じる可能性があり,注意が必要と考えられる。
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