臨床血液
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症例
好酸球数25万/μlまで急増した治療抵抗性の好酸球増加症
野口 雅章奥村 京子加藤 淳平野 隆雄押味 和夫
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2000 年 41 巻 2 号 p. 135-139

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抄録

症例は31歳男性。96年10月より脳腫瘍のため約20カ月間ステロイド療法を受けた。その間,好酸球数は100から1,000/μlであった。98年6月24日左胸水のため呼吸困難となり入院した。入院時,好酸球数は48,000/μl, 好酸球には過分葉,顆粒の分布異常,空泡形成等の形態異常を認めた。芽球と好塩基球の増加はなく,Hb 13.4 g/dl, 血小板数7.9万/μlであった。骨髄はやや過形成で,芽球0.2%, 好酸球55%で,染色体は正常,Wilms腫瘍遺伝子は陰性であった。血清IgEは正常,ビタミンB12とsIL-2Rは高値,IL-3, IL-5, GM-CSFは低値であった。胸水中に多数の好酸球を認めた。7月2日好酸球数110,000/μlと増加し,hydroxyureaを開始したが効果なく,7月16日好酸球数167,000/μlとなりvincristineを追加した。しかし翌日には,好酸球数は253,000/μlと著増し,cytarabineとdaunorubicinを投与したが,敗血症性ショックで死亡した。本症例は,染色体異常がなく,しかも男性であるために,単クローン性増殖の証明は不可能であったが,臨床経過から慢性好酸球性白血病が疑われた。われわれの検索した範囲では文献上最高値の好酸球増加を呈した。

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© 2000 一般社団法人 日本血液学会
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