2000 年 41 巻 2 号 p. 146-151
症例は67歳男性。拡張型心筋症で外来経過観察されていたが,全身倦怠感,息切れが出現したため精査目的に当院入院。血液検査で芽球を伴う白血球増加,貧血を認めた。骨髄穿刺検査では芽球が増加(85.4%, ペルオキシダーゼ染色(-))していた。芽球は,円形の核と明瞭な核小体を有し好塩基性で多数の空胞を伴う細胞質を有していた。表面マーカー検索でCD10, CD19, CD20, CD38, HLA-DR, FMC7, IgM-λ陽性であり,染色体分析で付加染色体異常を伴うt(8;22)(q24;q11)転座を認めた。以上より急性リンパ性白血病(FAB分類L3)と診断した。寛解導入療法後の血液回復期の39病日にイレウスを発症し汎腹膜炎を併発し急激な経過で死亡した。剖検で回盲末端より55cm口側に白血病浸潤による小腸穿孔を認めた。