臨床血液
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臨床研究
イダルビシンを用いて寛解導入療法を行った初発急性骨髄性白血病自験例41例の解析:特にt(8;21)を有するM2の長期予後について
松本 裕子森 政樹大月 哲也室井 一男畠 清彦小松 則夫小澤 敬也
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2001 年 42 巻 1 号 p. 15-22

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抄録

急性骨髄性白血病(AML)の寛解導入療法において,海外の基礎および臨床研究では,IDRの有用性が数多く報告され,IDRとシタラビン(Ara-C)の組み合わせが治療戦略の主体となっている。われわれは1995年5月から1998年10月までの当科におけるIDRを寛解導入療法に用いた初発AML41例について,その臨床経過,寛解率,再発率,予後について検討した。その成績は当科での92年から95年に行った,寛解導入にDNRを用いたJALSG-AML92登録26例の成績とほぼ同等であった。なお前者では,従来予後良好因子とされているt(8;21)(q22;q22)を有する症例5例が全例再発し,IDRによる寛解導入療法ではこの染色体異常は予後を反映しないことが示唆されたが,CD56陽性など予後不良因子が加味していたことも疑われる。今後長期予後を期待するためには,寛解導入後の地固め療法をより強化することが必要と考えられた。

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© 2001 一般社団法人 日本血液学会
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