臨床血液
Online ISSN : 1882-0824
Print ISSN : 0485-1439
ISSN-L : 0485-1439
症例
心臓に巨大腫瘤を形成した高齢者非Hodgkinリンパ腫
長谷川 靖白井 真也三品 孝行中田 匡信相川 啓子吉田 弘喜
著者情報
ジャーナル 認証あり

2002 年 43 巻 7 号 p. 538-542

詳細
抄録

心臓に巨大腫瘤を形成した高齢者悪性リンパ腫の1例を経験したので報告する。症例は82歳女性で,平成11年8月,全身倦怠感および咳嗽を自覚。右鎖骨上窩,左右腋窩,右鼠径部リンパ節腫脹および右鎖骨下部の前胸部皮下腫瘤を認めた。左腋窩リンパ節生検で非Hodgkinリンパ腫,びまん性大細胞型,B細胞型と診断された。胸部CT上,右心室壁の肥厚,縦隔リンパ節腫大,両側胸水及び脾内腫瘤がみられた。胸水中に腫瘍細胞を認め臨床病期IV期と診断した。心エコーでは心駆出率49%と心機能低下を認めたがCHOP療法3コース終了時には70%と回復,6コース終了時には画像上指摘された病変は全て消失した。縦隔,心臓に対する37 Gyの放射線照射を行った後,少量の両側胸水が出現,血中LDH値および血清可溶性IL-2レセプター値の上昇も認め再発の可能性が疑われた。その後,診断後8カ月で肺炎により永眠。

著者関連情報
© 2002 一般社団法人 日本血液学会
前の記事 次の記事
feedback
Top