臨床血液
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症例
再発時にM0からM7への形質転換がみられた小児骨髄性白血病
畑江 芳郎柳生 一自簗詰 紀子長 祐子飯塚 進武田 武夫鹿野 高明江口 光興
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2002 年 43 巻 7 号 p. 543-547

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抄録

急性白血病のその経過中における形質転換は稀である。初発時微分化型白血病(M0)の女児で,再発時急性巨核芽球性白血病(M7)へと形質転換した例を経験したので報告する。症例は1歳8カ月の女児で,1997年3月,高熱と紫斑で受診し,微分化型骨髄性白血病と診断した。白血病細胞はペルオキシダーゼ染色陰性で,細胞質に突起を有する細胞がみられた。細胞表面マーカーではCD-13, 33が陽性,CD41陰性,電顕的PPOは陰性であった。CCLSG·ANLLプロトコールによる治療で完全寛解に導入されたが,1997年7月に再発。再発時細胞表面マーカー解析においてCD41の発現がみられ,電顕的PPOも陽性を示した。染色体はinv(3)(q21p25)が認められた。再発後は化学療法に抵抗性で寛解に至らず,急性肺炎を併発し死亡した。本例は再発時にM0からM7へと形質転換が認められた症例で,再発や化学療法に対する抵抗性はあるいは再発時にみられた染色体異常との関連が示唆される。

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© 2002 一般社団法人 日本血液学会
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