臨床血液
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症例
腹水除去後,寛解を維持したhuman herpesvirus-8 (HHV-8)陰性primary effusion lymphoma
齋木 実齋藤 孝井上 満八田 善弘山崎 哲男伊藤 武善竹内 仁澤田 海彦堀江 孝至
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2002 年 43 巻 7 号 p. 548-553

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抄録

症例はHIV陰性の58歳女性。腹部膨満感にて当院に入院。5年前より甲状腺機能低下症,4年前より糖尿病の既往あり。理学的所見では腹水を認めたが,リンパ節腫大や脾腫を認めず。検査では,LDH, Al-p高値,多クローン性高γグロブリン血症,抗核抗体,自己抗体,HCV抗体陽性を認めた。胸腹部CTにて腹水の他,明らかな腫瘤は認めなかった。腹腔穿刺で異常リンパ球を多数認め,細胞表面抗原はCD5, CD19, CD20, およびCD4が陽性であった。染色体は核型の不均一を呈し,IgH鎖とc-mycの遺伝子再構成を確認した。リンパ球のDNAにはEBVおよびHHV-8のウィルスゲノムは認めなかった。B細胞性のprimary effusion lymphoma (PEL)と診断した。腹腔穿刺施行後腹水の増加は認めず,無治療で経過観察したが,7カ月後,偶発の脳出血で死亡した。一般にPELは予後不良であり,腹腔穿刺のみで再燃せず経過することは稀であると考えられた。

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© 2002 一般社団法人 日本血液学会
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