2004 年 45 巻 11 号 p. 1193-1197
症例は13歳の男子。11歳時にanaplastic large cell lymphoma (ALCL)を発症し,化学療法で治療されたが再発した。anaplastic lymphoma kinase (ALK)が陰性の再発症例であり,根治には造血幹細胞移植が必要と考え,HLA一致の兄から同種末梢血幹細胞移植を施行した。移植後11カ月時に慢性graft-versus-host disease (GVHD)の再燃に伴ってネフローゼ症候群を発症した。腎生検の結果,膜性腎症と診断した。可溶性IL-2受容体と抗核抗体が病勢を反映しており,慢性GVHDに関連する何らかの免疫機序が膜性腎症の発症に寄与しているものと考えられた。