抄録
症例は73歳の女性。2005年1月に多発性骨髄腫(IgG-κ型),Durie-Salmon病期Iと診断。2007年5月に血清IgGが4,850 mg/dlに上昇し,病期もIIIAに進展したのでVAD (vincristine, adriamycin, dexamethasone)療法を3コース施行。minor responseであったので,同年10月よりサルベージ療法としてmelphalanとcyclophosphamideの併用点滴療法を施行。3コース後にIgG値は2,830 mgに低下した。2008年3月,4コース目の入院時,軽度の黄疸とALPの上昇を認めた。約1ヶ月後,下肢の浮腫,著明な出血傾向と肝機能障害を発症した。5月中旬には肝性昏睡となり脳内出血で死亡。剖検では肝臓がALアミロイドでほぼ置き換わっており,これによる肝不全と考えられた。今後の早期診断・治療の重要性を考え,ここに報告する。