抄録
66歳女性。検診の胸部単純X線写真で右肺門部異常陰影を指摘され,胸部CTでは右肺S3領域に腫瘤性変化を認めた。気管支鏡下経気管支肺生検が施行され肺MALTリンパ腫と病理診断された。全身検索で右肺腫瘤以外に病変を認めず,Stage1AEの病期診断で経過観察とされた。しかし,9ヶ月後のPET/CTでSUVmax値の上昇を伴う右肺結節陰影増大および右肺門部リンパ節への軽度集積を認めたため,増悪進展傾向と判断して右上葉切除術および右肺門リンパ節廓清術が施行された。病理組織では原発巣・リンパ節ともに肺MALTリンパ腫と肺結核の並存が認められた。MALTリンパ腫発症には慢性炎症との関連が知られているが,本症例では肺結核が発症に関与したものと推測される。