抄録
症例は22歳女性,発熱と意識障害にて発症した後天性血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)に対して血漿交換とステロイド治療を開始したが,効果は乏しく経過中に右片麻痺が出現し,MRI画像で広範囲の左脳梗塞を,MR血管撮影にて左中大脳動脈主幹部の狭窄をそれぞれ認めた。治療抵抗性と判断し,第14病日よりrituximab 375 mg/m2を1週間毎,4回投与した。血小板数の回復と破砕赤血球の正常化,意識障害,右片麻痺の改善が得られ,梗塞巣も縮小した。TTPの神経症状は小動脈から毛細血管レベルの血小板血栓に伴い,通常CTやMRIなどで検出されないが,重症例では病変が出現することがある。治療抵抗性のみならず,本例の様に画像検査で脳血管障害を発症している場合は,迅速な改善効果が期待されるrituximabの使用を検討する意義がある。