抄録
EBV関連血球貪食症候群(EBV-HLH)は,EBVのCD8+T細胞への感染とクローン性増殖を特徴とする疾患である。EBV-HLHにおいてEBVに感染したCD8+T細胞はCD5の発現が陰性となり,この変化がEBV-HLHと他の重症EBV関連疾患の鑑別の上で有用であることを我々は報告してきた。今回,5歳女児のEBV-HLH患者においてEBV感染細胞がCD8+T細胞中のCD5-HLA-DR+を示す細胞群であると同定でき,この細胞群の経時的な増減は病勢を反映するものであった。EBV-HLHは,軽症例から強力な化学療法や造血幹細胞移植を必要とする重症例まで多様である。EBV感染細胞群をフローサイトメトリー法で簡便に同定し,その増減を経時的に評価していくことは,EBV-HLHの適切な治療方法を決定する上で今後重要になってくると思われた。