抄録
急性骨髄単球性白血病の54歳男性。骨髄像にてFAB分類のAML-M4Eoと診断した。リアルタイムPCR法でCBFβ/MYH11陽性であったが,骨髄染色体G分染法の結果よりdel(7q)が先行しinv(16)を付加異常として獲得したと考えられた。寛解導入療法1コースで完全寛解に至り,以後完全寛解を維持している。染色体核型は急性骨髄性白血病の予後因子として重要視されている。del(7q)は染色体核型による予後別分類では中間群,もしくは不良群に分類されている。一方inv(16)/t(16;16)は良好群に位置付けられている。ときにinv(16)/t(16;16)陽性de novo AMLに付加染色体異常としてdel(7q)が出現することが報告されており,そのような症例の予後は良好であるとされているが,本例のようにdel(7q)陽性AMLにinv(16)が付加的に加わった報告は稀であり,かかる症例の予後は明らかにされていない。染色体異常の出現と予後を考える上で貴重な症例と考え報告する。