2012 年 53 巻 4 号 p. 455-459
症例はTリンパ芽球性白血病の13歳男児。維持療法中に再発し,第2寛解期にHLA完全一致同胞ドナーから骨髄移植を施行した。急性GVHDは認めず,Cyclosporine (CyA)を減量していたところ,day 117に呼吸苦が出現し入院した。胸部X線とCTでは両側にびまん性間質性陰影を認めた。気管支肺胞洗浄液の検査結果からニューモシスチス肺炎と診断し,ST合剤増量とステロイドを開始した。呼吸機能は一旦改善したが,ステロイドの減量とともに増悪し,day 139に縦隔気腫と皮下気腫が出現した。発症当初からβ-D-グルカンが陰性で経過していること,ステロイド減量と病勢が相関していることから,主たる病態は非感染性の間質性肺炎と考えステロイドを再び増量したところ,症状は速やかに改善した。造血幹細胞移植後に遅発性非感染性肺合併症からair-leak syndromeを発症した場合の死亡率は非常に高いといわれているが,早期に免疫抑制療法を強化することで救命できる可能性もあると考えられた。