抄録
過去に出血のエピソードがなく,明らかな受傷機転がないにもかかわらず腹腔内出血を来した13歳男児例を報告した。新鮮凍結血漿を含む輸血と止血剤による保存的治療に反応せず,外科的止血術を施行した。出血源は肝左葉下面と判明した。家族歴聴取で母方男性のみの出血傾向が判明し,治療前の第8凝固因子活性が22%であったことにより血友病A軽症型と診断した。血友病軽症型は日常生活においては出血症状をほとんど認めず,偶然の受傷や手術時止血困難で発見されることが多いこと,血友病の家族歴が明らかでない場合があること,さらに凝固系検査異常が軽微なことにより診断に苦慮することが多い。軽症型でも重大出血の場合には生命予後は重症血友病と同等であり,迅速な診断と十分な凝固因子補充による治療が重要である。