臨床血液
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症例報告
臍帯血移植後のChryseobacterium indologenesによる中心静脈カテーテル感染症
児玉 祐一西村 美穂中島 健太郎伊藤 暢宏深野 玲司岡村 純稲垣 二郎
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2013 年 54 巻 3 号 p. 305-310

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抄録

症例は急性骨髄性白血病と診断された3歳女児で,寛解導入不能のため臍帯血移植を施行した。臍帯血移植後14日目に,Chryseobacterium indologenesによる中心静脈カテーテル(CVカテ)関連血流感染症に罹患した。感受性の結果を考慮してciprofloxacinとminocyclineによる治療を行ったが奏功せず,移植後21日目にCVカテを抜去し解熱した。C. indologenesは自然環境に広く分布する環境常在菌であり,ヒトの感染症の起炎菌としては稀である。同菌による菌血症は,がんや糖尿病などの免疫不全を背景にもつ患者に多い。近年C. indologenesの抗菌薬に対する耐性化が進行しており,C. indologenesのバイオフィルムを形成しやすいという性質から,造血細胞移植患者の同菌によるCVカテ感染症で,抗菌薬の効果を得られないと判断したら時期を逃さずにCVカテを抜去すべきである。

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© 2013 一般社団法人 日本血液学会
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