2014 年 55 巻 4 号 p. 445-449
症例1は55歳男性,症例2は68歳男性。共に赤血球輸血依存のある骨髄異形成症候群(MDS) Refractory anemia (RA)で,鉄過剰症に対してデフェラシロクス(DFX)の内服を開始した。症例1では投与22日目に,症例2では投与78日目に貧血の進行と著明な網状赤血球比率の低下,骨髄での赤芽球の著減を認め,赤芽球癆と診断しDFXを中止した。症例1では中止21日後には網状赤血球比率は投与前値まで回復し,症例2では中止14日後には網状赤血球比率の上昇が始まり,42日後には投与前値まで回復した。両症例ともパルボウイルスB19感染は陰性で,臨床経過からDFXに起因する薬剤性赤芽球癆の可能性が否定できない状況と判断された。両症例とも無効造血があり,網状赤血球比率は高値を示している症例であったが,このようなMDSに対してDFXを投与する場合には,薬剤開始後の網状赤血球比率の推移に注意する必要がある。